赤ちゃんがひとり
生まれてきました。
おなかの中にいるときの母親との約束どおり、
満月の夜(地上は雨だったけど)
抱きしめているように近くて
星のかなたのように遠い場所から
出発を告げるかすかな声
それは身体の奥深くから湧いてくる痛みとなって
母おやのからだに伝わり
ひとつのひかりが
ひとつのからだに宿り
この世へ渡ってくる道をすべりだした
永遠にも思えるような長さ
一瞬にも思えるような短さ
時間の感覚を失う場所で
そのときをたぐりよせる
繰り返しやってくる痛みの波は
母の意識から
祈りよりほかの思いを遠ざけ
ひとつのいのちをこの世にむかえるということ
それ以外のすべてをふりすてて
いまここにあること
それだけになる
月の引力にのって
地上に生れ出てきたのは
ひとりの女の子。
すべてを知り、
なお
ここへやってくることをえらんだひと
ちいさな、あたたかい、ひとりのひと
きよらかなひかりにつつまれたひと
どうかわたしが、
このたましいがみずからのそだつみちのりを
そばで助け、見守ることができますように
生きてここにあることの
透明な至福を
いつも感じていられますように
無限の
ありがとう
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