河合隼雄さんの「子どもの宇宙」。
鋭く的確な視線にぞくぞくしながら読み始めました。
河合さんとはいちどだけお近くでお会いする機会がありました。
深いやさしさといたずらっぽい笑みが、やんちゃな長老という雰囲気で、
こんなおじいちゃんと遊んで育ちたかったな〜と
思ったのでした。
私たちにさまざまな影響を与えてくださった方。
この本の冒頭の文章を紹介します。
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この宇宙のなかに子どもたちがいる。
これは誰でも知っている。
しかし、ひとりひとりの子どものなかに宇宙があることを
誰もが知っているだろうか。
それは無限の広がりと深さをもって存在している。
大人たちは、子どもの姿の小ささに惑わされて、
ついその広大な宇宙の存在を忘れてしまう。
大人たちは「小さい」子どもを早く「大きく」しようと焦るあまり、
子どもたちのなかにある広大な宇宙を歪曲してしまったり、
回復困難なほどに破壊したりする。
このような恐ろしいことは、しばしば大人たちの自称する
「教育」や「指導」や「善意」という名のもとになされるので
余計にたまらない感じを与える。
・・・(中略)
子どもたちの澄んだ目は、この宇宙を見すえて、日々新たな発見をしている。
しかし、残念なことに、子どもたちはその宇宙の発見について、
大人たちにはあまり話してくれない。
うっかりそのようなことをすると、無理解な大人たちが、
自分たちの宇宙を破壊しにかかることを、
彼らが何となく感じているからであろう。
それでも、子どもたちの宇宙からの発信に耳を傾けてくれる大人を見出したとき、
子どもたちは生き生きとした言葉で、彼らの発見について語ってくれるのである。
河合隼雄「子どもの宇宙」より
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